服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』中公新書
ルワンダつながりで,ずいぶん前に読んだ本の感想を,ついでにアップします.(ハードディスクの中から掘り出したものに,アップするにあたって修正を加えました.)2002年に読んだ本のようです.
- 作者: 服部正也
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1972
- メディア: 新書
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この本は,服部氏が1965年から1971年までルワンダに滞在したときの出来事を書いている.この期間,服部氏は日本銀行からIMFに出向し,ルワンダ中央銀行総裁として同国の経済再建の立案と実施に携わった.この本を読んで強く印象に残ったのは,服部氏が専門家としての能力が高いだけでなく,(現実的かつ実践的で)交渉能力も高いところ.「私はルワンダ国のためにきたものであり,自分の任期中は全力をつくしてルワンダのために働くつもりである」という言葉通りに職務を忠実に遂行した氏は,カイバンダ大統領をはじめ多くのルワンダ人の信頼と友情を得た.
ところで,服部氏は子供をルワンダに連れてゆきベルギー人学校に通わせた.「私は教育に関する親の責任は,進学路線の確保などは抹消の問題で,成人してからの人生でどんな困難に遭遇しても,正面からこれにとりくんでこれにうち克つという人間的強さを,あらゆる機会をとらえて子供につけてやることだと考えている」と服部氏は述べている.この部分を読んで,こんな親をもって子供も大変だろうな,と感じた.
現在から過去を振り返るのは,後だしじゃんけんのような気もするけれども,1972年6月にこの本が出版された後のルワンダは,服部氏の望んだ方向には全然進まなかったのだと思う.