『不動心』
しばらく前に読んだ本.
- 作者: 松井秀喜
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 新書
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僕の左手首は,医学上は完治しても,野球選手として元通りにはならないでしょう.しかし,元に戻らないならばトレーニングや打撃フォームを工夫して進化すればいいのです.いつか「骨折してよかった」と言える日を思い描いて,頑張っていくつもりです.人間万事塞翁が馬.そう信じれば,決して絶望する必要はありません.(p.51)
要するに,「もしも」と想像するのは,単なるお遊びでしかありません.何度も繰り返しますが,人間万事塞翁が馬.思い通りに事が運ばずとも,落胆せず,前へ進むしか道はないのです.そのうち,きっと「この道でよかった」と思える日がくるのではないでしょうか.(p.57)
上の言葉は,松井選手自身の経験から来ているようだ.高校生の時には甲子園で5打席連続敬遠された.しかし,連続敬遠があったから,松井選手は日本中で注目され,4球団からドラフト1位で指名された.ドラフトで当たりクジを引いたのは,希望していた阪神ではなく巨人だったが,その結果,松井選手は長嶋監督と出会った.1998年の春期キャンプ中に23歳の松井選手は膝を痛めた.このとき,手術をせず,膝の怪我と選手生命を通じて付き合っていく覚悟を決めたという.そして,外的な治療やトレーニングだけでなく食生活にも気をつかうようになり,結果として(膝の怪我にもかかわらず)この年にホームラン王と打点王の二冠という初タイトルを獲得した.
この本ではほかにも松井選手の心構えがいろいろと書かれている.キーワードであげれば,柔軟な発想,「過度の思い込みは嘘よりも危険な真理の敵である」,適度な遊び,ストレス発散などなど.スーパースター的な存在であるにもかかわらず,書き方は親しみやすく読んでいて元気が出てくる本だと思う.
連想
本を読みながら,アメリカの牧師ニーバーによる「平安の祈り」を思い出した.神様,私にお与えください.
変えられないものを受け入れる落ち着きと
変えられるものを変える勇気と
二つを見分ける賢さを
(ラインホールド・ニーバー「平安の祈り」)*1
私はこの言葉に少し引っかかるところがあるのだけど,別の話なので改めてということで.