ハマーショルド(Hammarskjold)『道しるべ(Markings)』
- 作者: ダグハマーショルド,Dag Hammarskj¨old,鵜飼信成
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1999/05/11
- メディア: 単行本
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Markings (Vintage Spiritual Classics)
- 作者: Dag Hammarskjold,W. H. Auden,L. Fitzgerald Sjoberg,Jimmy Carter
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2006/10/10
- メディア: ペーパーバック
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スウェーデンの外交官で,1953年-1961年に第2代国連事務総長を勤めた,ダグ・ハマーショルド(1905年-1961年)の日誌(箴言)です.日誌は,ハマーショルドが20代だった頃から1961年にコンゴで墜落死するまでですが,日々の出来事がそのまま書かれているのではなく,箴言のような感じで書かれています.
私はところどころを読んだくらいです.こんな感じです.
Give me a pure heart that I may see Thee.
A humble heart that I may hear Thee,
A heart of love that I may serve Thee,
A heart of faith that I may abide in Thee.
さて,マルク・ブロックと間違えたのが,マルンベルク(Malmberg)でした.スウェーデンの詩人だそうです.全然違います(^^; みすず書店から出ている翻訳の冒頭に
抹消する手だけがただしい言葉を紡ぐことができる.
マルンベルク
と書かれています.この一文の意味が分からずに,それゆえにでしょうか,印象に残っていたのでした.上の一文は「抹消する手」というのがよく分からなかったのでした.なぜか「抹消」から「消耗」を連想してしまい,さらに『ツァラトストラはこう言った』の次の一文を連想したのでした.
すべての書かれたもののなかで,私が愛するのは,血で書かれたものだけだ.血をもって書け.そうすればあなたは,血が精神だということを経験するだろう.
ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』岩波文庫(p61)
ところが英語版を見てみると,上の言葉は,もともとはマイスター・エックハルト(13世紀の神学者)の言葉だそうです.英語版では,
Only the hand that erases can write the true thing.
Meister Eckhart
となっています.「抹消する」は eraseでした.英語の方を読むと,正しい解釈か分かりませんが,「過ちをおかしたときに,過ちをおかしたと認めることができる人だけが,正しい行いをすることができる」という意味のように思えます.